記事のアーカイブ
偏見と先入観
2019年04月30日 16:46
こんかいは購読の新聞に掲載の「ヘイトの構造」と題する、斎藤美奈子(文芸評論家)という方の文章を紹介する。
「3月15日、ニュージーランドで起きた銃乱射事件。これはどう見てもヘイトクライム。思い出したのは「ヘイト(憎悪)のピラミッド」だった。ヘイトスピーチ関係の本にはよく出てくる概念で、五層構造のピラミッドは、下から順に①偏見や先入観、②偏見や先入観に基づく行為、③差別行為、④暴力行為、一番上は⑤集団虐殺。「殺せ」「死ね」「叩(たた)き出せ」などのヘイトスピーチを放置したら、やがてヘイトクライム(暴力や虐殺)に発展するという悪夢のような構造である。
逆に言うと、一件の虐殺事件の背後には多くの暴力
「誘惑」
2019年03月22日 16:33
創世記2章からの原初史物語の作者は〈人間〉に集中させてこれを扱うのであるが、この物語作者が扱う〈人間〉は〈善悪を知る知識の木〉の実を食べる人間である。ここは原初史物語における最も重要なところであるとおもわれる。ここも丁寧に読んでゆこう。
3章1
「主なる神が造られた野の生き物のうちで、最も賢いのは蛇であった。蛇は女に言った。『園のどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。』」
ここには寓話が用いられているが、蛇の開口一番の言葉はこうである、〈園にあるどの木からも食べてはいけない、などと神は言われたのか。〉この蛇の言葉は2章16~17にしるされている神が言
人間であること
2019年03月22日 10:30
新聞の報道を読んで気になるのは国の重要な事項に関し忖度(そんたく)で物事を決めることが続いていることである。
忖度するとは自分なりに考えて他人の気持ちをおしはかること、すなわち、忖度するとは他の人のことを配慮すること、つまり、良いことをすることである。だが、今日、忖度という言葉で言われていることは、そういう良い意味においてではない、むしろその逆である。
自分の上にいる者に気に入ってもらうために、いろいろなことを画策する。たとえば、記録を書き変える、事実を隠す、嘘を突き通す、こういったことをする言葉として使われている。人がこの意味での忖度をするとき、その人から失われるものがある。
この問題に関し
沖縄の海
2019年02月09日 10:30
沖縄の辺野古の海に土砂が投入され、沖縄の美しい青い海が黒ずんだ色に変わってゆく、その様がテレビの画面に映し出されていた。心痛んだ。テレビ画面で見るだけで心痛むが、これを直に見ている沖縄の方々の痛みは、いかばりであろう。痛みの深さは察するにあまりある。
海が汚されるということで思い起こすのは熊本の水俣の方々のことである。企業の排出した水銀で海が汚染され、悲惨極まりないことが起こった。水俣病を強いられた方がこう言っておられるのを本で読んだことがある。それをしるしておきたい。
海は自分たちの魂が帰ってゆく所。海が汚されるということは魂が帰って行く所が汚されるということ。海が汚されれば、魂の帰ってゆく
「共同・共生の人間」
2019年02月09日 09:14
原初史物語の作者は、〈エデンの園〉における人間は〈地に仕える〉人間であるとしるしたが、この人間は〈共同・共生〉に生きる存在であるとしるす。そこのところも丁寧に読んでみよう。
2章18
「主なる神は言われた。『人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう。』」
ここには原初史物語作者の人間理解が言い表されている。〈人が独りでいるのは良くない。彼に合う助ける者を造ろう〉の表現からして言い得ることは、神ヤハウェによって創造された人間とは〈共同性〉〈共生性〉を持つ存在であるということである。
原初史物語作者は、人間の持つ〈共同性〉〈共生性〉について、すでにしるしてい
「善と悪を知る知識の木」
2019年01月11日 16:48
〈善と悪を知る知識の木〉
2章15~17にしるされているところは、原初史物語における最も重要なところに関わる。ここは丁寧に読むことが求められる。
2章15
「主なる神は人を連れて来て、エデンの園に住まわせ、人がそこを耕し、守るようにされた。」
原初史物語は語る、神ヤハウェが人間をエデンの園に置いたのは〈耕し、守る〉ためであった。
ここで〈耕し〉について留意しておきたい。この〈耕し〉について、月本昭男の『創世記Ⅰ』は適切な解釈を提示している。それを紹介する。
この「耕し」と訳すことがこれまで続いて来ているが、この語「アーバド」は「仕える」と
創世記の「箱舟物語」から
2019年01月11日 10:30
「優生思想」と呼ばれているものがあります。この思想は存在してよいものと存在してはいけないものを分け、後者を隔離し消滅させようとするものであります。
この思想を克服し無化することは、聖書を読む者の責務とおもわれますので、今号はこの思想を克服し無化する作業の一環として、聖書の語るところを書いてみることにいたします。
創世記に「箱舟物語」があります。物語は箱舟に乗船したのはノアたちと動物たちであったとしています。つまり、動物たちも乗船したとしています。そうすると、ここにはノアたち人間だけが生き残ればよいとする考えは無い、ここには動物は生き残れなくてもよいとする考えは無い、そう言ってよいかとおもわれ
共生の社会へ
2018年12月09日 10:30
新聞報道ではこの国の政府は外国人労働者の受け入れを拡大するため入管難民に関わる法を改訂しようとしている。政府の説明では、移民を考えておらず労働力の導入というものである。
移民を考えていないとはどういうことであるか。それは、国籍権は与えない、永住権は与えないということである。ということは、憲法の保障する基本的人権の内に置かない、その外に置くということである。
ということは、その方々が労働力にならないことになってしまった場合、たとえば病気になったり、交通事故に遭遇したりして働けなくなった場合、その方々をそれぞれの国に送り返すことになる。これでは「使い捨て」をするということになる、そういうことではな
2018年 待降節・クリスマス礼拝へのご案内
2018年11月30日 13:48
今年も待降節を迎えました。日曜日の礼拝のご案内をいたします。
礼拝は 毎日曜日 10時30分~11時30分
◎12月2日 〈祭司ザカリア〉 ルカによる福音書1章 5~13
◎12月9日 〈おとめマリア〉 ルカによる福音書1章26~31
◎ 12月16日 〈待つ人シメオン〉ルカによる福音書2章25~35
◎12月23日 〈神の自己紹介〉 ルカによる福音書 2章 1~14
クリスマス祝会:12月23日礼拝後 12時~13時30分
「四つの川」
2018年11月30日 13:31
2章10~14には〈四つの川〉についての記述がある。この記述は物語の本筋から離れているようにみえる。が、そうであろうか。
ここにしるされていることは、エデンの園から流れ出ている川がエデンの園を潤すと共に、四つの川となって流れ出て、当時考えられ得た世界の全ての地域を潤す、それがしるされている。
古代オリエントの世界では〈川〉の水が得られる場というのは人々の生活の場である。そうすると、この〈四つの川〉の物語は、この地上の全ての世界の人々の生活の場に〈エデンの園の水〉が流れ出ており、この地上の全ての人々はこの〈水〉を介して〈エデンの園〉につながることができるということ、そ
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