記事のアーカイブ

高校生の訴え

2019年10月06日 10:30
購読する新聞に、国連の場で「気候行動サミット」が開催され、スウェーデンの高校生のグレタ・トウンヘリさんが演説し、その演説の全文が掲載されている。 彼女は国連に集まった工業先進国の指導者たち向かってこう語った、 「人々が苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶望に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話しだけ。何ということだ。」 わたくしはこの彼女の演説文章をわたくしへの批判として読むほかなかった。というのは、わたくしは生態環境が崩壊の危機にあることを訴える文章を以前には書いていたが、近年はその訴えをしなくなっているからである。 その原

「永眠者記念礼拝」のご案内

2019年09月21日 17:19
2019年度の『永眠者記念礼拝』は11月10日(日)10:30~11:30です。 メッセージ〈名を呼ぶ〉ご予定下さい。 愛餐会は12:00~13:00

弱 さ

2019年09月15日 10:30
鷲田清一『老いの空白』(岩波現代文庫)から教示されることが多い。今号はその一つを書いてみよう。(以下の文章は同書から教示されたところをわたくしの言い方でとなっている。) 「老いる」ということは「できる」世界から「できない」世界に入ることであると言われ、それは間違いのないところだが、人はその「できない」世界に入ったとき、分かってくることがある。それは「自由」ということについてである。 近代という時代に獲得された自由は自分のことは自分で決定できる自由、すなわち自己決定の自由、また、自分のことは自分で始末をつける自由、すなわち自己管理の自由、さらには、自分のことは自分で責任をもつ自由、すなわち自己責

「創世記四章(2)」

2019年08月14日 09:40
創世記四章(2)   1 〈カインという存在〉   ここで、創世記四章のなかほどにしるされているところも丁寧に読んでおくことにしたい。   4章12 神ヤハウエはカインに言われた、「あなたは地上をさまよい、さすらう者になる。」   この「地上をさまよい、さすらう者になる」は〈土から離れる者になる〉ことを意味する。なぜカインはそうなったのか。   4章11 「あなたが流した弟の血を飲み込んだ土を耕しても、土はあなたのために作    物を産み出すことはない。」   カインがアベルを殺しその血を土に流したため、土は食べ物を産む使命を神ヤハウ

長崎市平和宣言

2019年08月11日 10:30
8月6日の広島平和記念式典、9日の長崎平和祈念式典の新聞記事を読みました。核兵器の廃絶に向けた熱い訴えを聴くことができました。今号は、長崎市長が「平和宣言」において訴えておられるところを紹介することにいたします。 長崎市長の宣言は「目を閉じて聴いてください」から始まり、ついで詩の朗読があり、そのあと熱い呼び掛けの言葉が続きます。 「原爆は『人の手』によってつくられ、『人の上』に落とされました。だからこそ『人の意志』によってなくすことができます。そして、その意志が生まれる場所は、間違いなく、私たち一人一人の心の中です。」 「今、核兵器を巡る世界情勢はとても危険な状況です。核兵器は役に立つと平然と

民主主義

2019年07月07日 10:30
わたくしが再読する書に『当事者主権』(岩波新書)があります。そこにこういう文章があります。 「(社会の)制度設計の基準を、平均にではなく『最後のひとり』に合わせる。そのためには多数決を絶対視しない。そういう合意形成を可能にするようなラデイカルな民主主義をめざしたい。」 わたくしはこの書から多くの示唆をあたえられていますが、いま引用した文章からもあたえられました。この文章に「民主主義」の語がありますが、この文章から「民主主義」について示唆をあたえられました。今号はそれを書いてみることにします。 この文章に「ラデイカルな民主主義」という表現が用いられていますが、この言い方で民主主義の根本(ラデイカ

「創世記四章―(1)」

2019年06月20日 09:08
1 〈カインとアベル〉   創世記四章は兄カインが弟アベルを殺す物語から始まる。まずそこから丁寧に読むことにしたい。   原初史物語はカインがアベルを殺すきっかけとなったことからしるしている。そこには次のようにしるされている。   4章4後半~5 「主(ヤハウエ)はアベルとその献げ物には目を留められたが、カインとその献げ物には目を留められなかった。カインは激しく怒って顔を伏せた。」   原初史物語はカインがアベルを殺すきっかけとなったのは神ヤハウエがアベルを良しとしカインを良しとしなかったゆえであるとしている。カインはこのことのゆえに〈激しく怒った〉。カ

創世記の洪水物語

2019年06月09日 10:30
 聖書の初めにある創世記に「洪水物語」と呼ばれている物語がある。 この物語の「洪水」は「戦争」を指している。戦争を言い表すのに洪水の比喩が用いられたのは、大災害を生じさせる洪水が戦争の生じさせる巨大な壊滅の事態を言い表す近似の表現であるからであろう。 物語は洪水が何故生じたかについて書いている。それは、当時政治を動かす権力を掌握していた者たちの勝手気ままな、横暴というほかないものによってであった。それが書かれている。 この物語の作者は、洪水という異常気象が生じて地は存続の危機に直面しているとしているが、物語の読者である私たちは、この物語表現の向こうにある、物語作者の言っているところを

「命の保全」

2019年05月21日 16:53
原初史物語は2章4後半から3三章19にしるされているところで一つの単元になっているようで、物語作者が言おうとしていることの一つは述べ終わっているようにおもわれる。これに続く3章20~24にしるされている物語は伝承されていた物語をここに加えたという感じがする。ここではこの物語を採用し加えた原初史物語の編集者の意図を推測してみたいとおもう。   わたくしの推測するところ、原初史物語の編集者が3章20~24の物語を加えた意図の一つは次のところにあるとおもわれる。   3章20 「アダムは女をエバ(命)と名付けた。彼女がすべて命あるものの母となったからである。」   物語

「その後のこと」

2019年05月21日 16:52
原初史物語の作者は〈善と悪を知る知識の木〉の実を食べた人間の〈その後のこと〉について語る。人間が〈善と悪を知る知識の木〉の実を食べたということは人間の生き方を選択したということであった。どういう生き方を選択したのか。   人が〈善と悪を知る知識の木〉の実を食べたということは、確認してきたように、これはこの世の権力を掌握している者に最高の賛辞を呈するということであるが、それは何のためであるかと言うと、この者に〈依存する〉ためであった。人はこれを自分の生き方として選択した。   人がこの生き方を選択した理由は、自分が〈土で造られている〉、すなわち自分が〈もろくよわい〉者である、
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