創世記4章の物語

2017年11月05日 10:00

今号は創世記4章の物語を引いてみることにします。動機はその後にしるすことにいたします。

創世記4章の初めには兄のカインが弟のアベルを殺すことがしるされ、後段のところにはカインの末裔のレメクが「わたしは傷の報いに男を殺し打ち傷の報いに若者を殺す」、つまり加害者には報復としてその者を殺すと詠ったということがしるされています。ここには〈報復戦争〉の肯定が述べられていると言ってよいかとおもいます。

ここで創世記4章の中段にしるされていることに留意する必要があります。そこには殺人者カインに対する報復を禁じる神の言葉がしるされ、こうあります。「主はカインに出会う者がだれも彼を撃つことのないように、カインにしるしを付けた。」ここには〈報復戦争〉を禁じる神の言葉がしるされていると解してよいとおもわれます。

創世記4章は〈報復戦争〉の肯定を詠うカインの末裔のレメクを〈報復戦争〉の禁止を語る神の言葉を破棄する者として描いているようです。

最近の報道から聞こえてくのは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核兵器開発に対し、これを圧力で抑え込むとする米国大統領の威勢のいい声、そしてこれに同調するこの国の首相のこれまた威勢のいい声。この調子で行くと、〈戦争〉が起ることになりはしないかと憂慮せざるをえないのはわたくしひとりではないだろう。

〈戦争〉というのは〈報復戦争〉として起るというのが歴史の示すところ。もし米国大統領の言う〈圧力〉が〈軍事的〉なものになれば〈報復戦争〉が起るのは避けられない。いや、〈圧力〉が〈軍事的〉なものにならなくてもその程度いかんにより〈報復戦争〉は起る。こういったことは歴史を学べば直ぐに分かることです。

〈圧力〉をかけると威勢のいい声高の主張をし続ける米国の大統領と日本の首相に、歴史の教訓を教える者がいてくれるといいのだが。