探し当てた喜び(2021・冬)
『探し当てた喜び』
新しい年を迎えました。皆様いかがお過ごしでしょうか。牧師の縣洋一です。今年もどうぞよろしくお願い致します。さてこの冬、私にとっては初めての中野桃園教会でのクリスマスを過ごしました。アドベントの礼拝では「鋤に変えられた剣」「土が盛り上げられた道」「夜明けを告げられた闇」と題を据え、暗さの象徴である「剣」「でこぼこ道」「闇」が、主の到来によって「明るいもの」に変えられる驚きと、その為の「道備え」を説きました。また、降誕記念礼拝ではルターが「小福音書」と称したヨハネによる福音書3章16節を取り上げ、抽象的に捉えがちな「愛」という言葉を、具体的な「近づく」という動きの中で捉え直し、神の愛の深さを共に分かち合うことができました。更に今年は久しぶりに「イブ礼拝」が行われました。役員会ではコロナ禍を念頭に意見が交わされましたが、「とにかく無理のない形で、少しの人数でもいいから、それでも世(地域の方や、本当に苦しい思いをされている方)に光を灯して行きましょう」と実施が決まりました。
さあ、まずは下調べ...と、「ノアの箱舟の三階」(通称、三階の倉庫?)を家探ししてみると、あるはあるは次々と「お宝」を発見!その中でも一番のお宝は、真鍮製の「燭台」。しかも長椅子の横に取り付けられるようになっていて、段ボール箱の中に3、40個ほど入っていました。また、イルミネーションライトやスポットライトなど「闇夜を照らす」品々も発掘!それに触発されて「箱舟の中で生れた乳飲み子の元に動物達が続々と集まってくる」というこの教会らしいイメージが浮かび、小学校教師時代を懐かしみながらポスターを製作し、それを入口に立て掛け、イブの時を待ちました。すると本当に嬉しいことに、長い間お休みだった方、近隣に住んでおられる他教会の方、私がYMCAでキャンプをしていた時にお世話になった方、更には横浜からも、全員で25名もの方が礼拝堂に集まり、「真鍮の燭台」に火が灯る中、まさに羊飼い達が乳飲み子を「探し当てた」その喜びを共に味わうことができました。世の暦では1月1日が年のスタートですが「教会暦」ではアドベントから新しい年が始まっているわけで、それは、私達が立ち上がる「その前」から「もうすでに」主は立ち上がって下さっていることを思わされます。この「救い」の動きに信頼し、新しい一歩を踏み出して参りたいと思います。
さてこの冬、庭に目を転じると、ひときわ存在感を増して迫ってくるのが「ヒイラギ」です。ご存じの通りヒイラギの葉は、5月~6月にかけて花が咲き、待降節に実をつけクリスマスの頃には真っ赤に熟しリースやクランツの飾りに大活躍するわけで、それがこの庭にこれでもか!と茂っているのは贅沢な限りです。何と言っても、この葉の特徴はその変わった葉の形と、小さな群れを為して実る「赤い実」。ワンポイントの「赤」が入ると、グッと気持ちが明るくなります。冬の暗闇の時間が長い北欧で、特にクリスマスの装飾が発展していったそうですが、コロナの中で「いつも通り」の有り難さを知ると共に、しかしそこに、ちょっとした新しい「色」を入れてみる冒険の豊かさに気付かされます。